訓言 か行




    帰りなん、いざ田園まさに蕪れんとす [かえりなん、いざでんえんまさにあんとす] 帰去来兮、田園将蕪
    陶淵明 『帰去来辞』
    解説  東晋の陶淵明が、役人生活に見切りをつけ、故郷に帰るときの詩。


     この詩の大意が、「さあ、帰ろう。故郷の自分の田畑が荒れてしまいそうだ。過去のことはやりなおしがきかないが、これから将来のことは間に合う。道には迷ったようだが、まだ遠くはなかった。いま、帰るのはまだ遅すぎることはない。」というものです。
     当時、陶淵明は41歳でした。著者も45歳のときに長年勤めた会社を辞め、独立開業者の群れに飛び込んだだけに、陶淵明の気持ちが痛いほどよくわかります。
     現在、大手企業でも大量リストラが強引にすすめられ、途方にくれる人が多いようですが、これをチャンスと捉え、新天地を切り拓こうと前向きに生きていきたいものです。

    木の長きを求むる者は、必ず根本を固くす [きのながきをもとむるものは、かならずこんぽんをかたくす] 求木之長者、必固其根本
    『旧唐書』(魏徴伝)
    解説  木が大きく成長し、葉の緑が茂るようにするためには、必ずその根根(ねもと)を固めなければならない。


     CMNというメディア系のベンチャー会社があります。社長のOさんは弱冠38歳の若手企業家ですが、そのO社長、一時期、本業のメディアビジネス以外に、翻訳ビジネスに着手し、将来は国際業務全般(貿易・翻訳・通訳・交渉など)を扱うアウトソーシング会社を設立しようということで着々と準備をすすめていました。
     そんなある日、「アウトソーシング会社の計画から撤退します。今後は、本業であるメディアに一本化し全力を注ぐことにしました。」という通知がO社長から関係者全員に届いたのです。通知を受け取った関係者は「あっ!」と驚いたでしょう。
     己れの会社を維持・発展させていくために、本業(メディア)では何処にも負けないだけの力を身につけるのが最優先事項だとO社長は判断したのです。

    季布の一諾 [きふのいちだく] 得黄金百斤、不如得季布一諾
    『史記』(季布伝)
    解説  信頼できる人物の一言は、いかなる保証よりも信用できること。


     季布は、漢初の人物。賢明さと任侠で名声があった。当時、人々は「季布が一度引き受けたら、黄金百斤よりも重みがある」と言ったという。
     日本語では、「武士に二言はない」、英語では、「My word is my bond」とい うことになる。頼まれごとを引き受ける時にはくれぐれも慎重であらねばならないが、いったん引き受けたからには、約束は必ず貫き通す心構えが大切です。

    孤掌鳴らし難し [こしょうならしがたし] 孤掌難鳴
    『韓非子』(功名)
    解説  片手のてのひらだけでは鳴らすことができないように、人間が一人だけで何ごとかをやろうとしても、なかなかむずかしいものである。


     インターネットの世界にはSOHO・ベンチャービジネス関係のメーリングリストがたくさんありますが、その中で一匹狼型の独立開業者が集うメーリングリスト【和僑】は、ビジネスの種などの良質の情報が手に入るだけではなく、ビジネスパートナーづくりの場でもあるのです。この不況を逆手にとり、起業を試みる人に自信をもって推薦できるメーリングリストです。
     つまり、起業を成功させるポイントの一つが、良いパートナーづくりであり、ビジネスの種です。一人だけではなかなか成功も覚束ないでしょう。


    訓言