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                日本脱藩のすすめ  第7号
                
                 「海外起業家の群れ」

                                                       1998/10/19
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             海外起業家の群れ

 海外で仕事をする日本人には様々なタイプがあります。20代、30代につ
いては、海外ビジネスの話が中心ではないものの、既にいろいろと【20代へ
の脱藩指南】及び【30代への脱藩指南】にて述べましたので、今回は40代
以降の方々の海外起業について触れていきたいと思います。
 但し、著者の場合、組織に属しての海外出張は数度体験しているものの、海
外でのベンチャ・ビジネスに挑んだという経験はありません。そこで、海外で
石油ビジネスに挑み、成功させた体験を持つ藤原肇さんを取り上げてみたいと
思います。藤原さんは、ホームページ【日本脱藩のすすめ】を陰ながら支えて
くれている、言わば、【日本脱藩のすすめ】の顧問に相当する方です。ついで
に言いますと、メールマガジン【日本脱藩のすすめ】のタイトルは、今や絶版
となった「日本脱藩のすすめ」(藤原肇著 東京新聞出版局 1980年)から借
用したものです。
 さて、今や古典的名著となった「日本脱藩のすすめ」の中で、ベンチャーに
ついて述べた箇所が多いのですが、著者の独断と偏見でこれはと思われるくだ
りを列挙してみましょう。
 ただし、下に転載した箇所は、「日本脱藩のすすめ」の第1章 「人生は節
目で翔べ」から選んだほんの一部です。「日本脱藩のすすめ」は、全体で3章
から成りますが、第1章にあるベンチャー・ビジネスに関する記述だけでも、
起業を志す者には見逃せない記述があまりにも多く、とても全部は転載できま
せんでした。

●ビジネス・ノウハウを武器にして、やる気を持った小集団が創意と挑戦の気
概に燃えて、既存のビジネス領域に進出を企てているのです。最初のうちは困
難に遭遇して苦しいことも多いですし、涙をのんで敗退しなければならないか
もしれませんが、幾ら大きなものでもマンネリに陥っていれば、必ず新進気鋭
の者に隙をつかれるものです。それに組織が小さければ経費は最小限度で済む
ので、いざとなったら耐久度は抜群ですから、とことんまで耐えぬけば、いつ
かは微笑む時を迎えることが可能になります。しかも、自分でビジネスをやる
ことによって自らの創意を生かし、実力を試すことができたら、人生これくら
い楽しいことはないし、これ以上の生き甲斐を感じることはありません。

●アメリカ人のパートナーと一緒に、今度は石油ビジネスの本場アメリカに乗
りこんで、石油開発会社の経営を始めて現在に至っています。
 まだ、創立以来一年半しか経っていませんが、会社の内容は資本金の量や従
業員数で評価するのではなく、スタッフの質の良さとビジネスの内容によって
決まるという意味からすると、すでになかなかいい線をいくに至っています。
米国に進出した日本の大企業がテレビの組立工場を作って数百人のアメリカ人
に仕事を提供しているという計算に従えば、僕がもう一人のアメリカ人と共同
でベンチャー・ビジネスを始めて、年間二十本近くの試掘をして石油開発をビ
ジネス化すれば、やっぱり年間数百人のアメリカ人に新しい仕事を供給するこ
とになります。
 その上、石油産業というのは地上最大の産業であり、やり方さえ間違わなけ
れば、石油ビジネスほどもうかるものは他にありません。今のところ創立間も
ないので、まだ海のものとも山のものとも言いかねる段階ですが、あと一年半
くらいで目鼻がつくことでしょう。それに石油は「黒い黄金」と呼ばれ、全世
界が一滴でも多くの石油を欲しがっている状況は、ここ十年以上続きます。だ
からあと八年半の持ち時間のうちに、氾濫する黒い黄金の中に自分の石油会社
が水没して、嬉しい悲鳴をあげることになる可能性もありうるわけです。
 あるいは鳴かず飛ばずで終わってしまったり、破産の憂き目にあって、あの
セーヌ河の新橋(ポン・ヌフ)の下の仮住まいということで四十代を終えるこ
とになるかもしれません。それでも一生懸命にやった上で出た結果がそういう
ことであれば、「青山骨を埋むべし」であって、これまたひとつの人生と言わ
なければならないでしょうね。

●ベンチャー・ビジネスというのは、問題意識とソフトウエアが非常に優れて
いて、この人ならこの種の問題に関して世界一とか、関西で一番わかっている
という人物が寄り集まり、しかも必要最低限度だけの人間だけで構成し、不必
要な者はいっさい組織の中に入れないで運営する事業です。
...........中略.............
組織の発展の歴史をふりかえってみるなら、仕事を分担して能率をあげるとい
う原理に従って、組織は複雑化し拡大してきたのは確かです。複雑化すること
によって不必要なものをとりこみ、拡大したことによって多くのものを失って
しまったという事実に注目するなら、不必要なものを切り棄て、必要があるに
もかかわらず失ってしまったというものを取り戻す努力をすることも、発展の
別の側面ではないでしょうか。マックス・ウェーバーが喝破した通り、官僚制
というのは人間が作り上げた最も合目的的な機構であり、合理性の特徴を持ち
うるものであると言えますが、組織内部の個人の能力の活用と、構成員として
の個々の人材の実力の自律的増進という意味では、あまりにも多くのものを喪
失しているのも事実ではないでしょうか。特に、素早い決断をするプロセスと
、組織の機動性を保持するためには、最小限に複雑化し、最小限に拡大すると
いう態度に徹しなければならず、それを実現してビジネスをやっているのが、
実はベンチャー・ビジネスの正体です。ベンチャー・ビジネスは規模の単位に
よって大きさを計る、小企業とか零細企業とは本質的に異なった理念で成り立
つものであり、外見的には似ていますが、中身は気が遠くなるほどの違いを持
つといえるでしょう。

●ベンチャー・ビジネスは非常に経済合理主義に徹した組織体ですから、不要
なものはいっさいかかえこみません。無駄と考えられる経費は全く使いません
。事務所にしても、大きなビルに入って立派な看板をかける必要もありません
。誰かメンバーが持っている会社の中の一室に陣取ったて構わないし、ホテル
の会議室を三ヶ月間借りて仕事を仕上げ、目的を果たしたら、さっさと解散す
るなり、新しい組合わせで別の組織体と共同事業を始めてもいいのです。ある
意味で課題を遂行するためのゲリラ組織ですから、特別任務が終わった段階で
組織は解体されて再編成されるのは当然でして、この解散能力がベンチャー・
グループの活力源とも言えます。特に、労働力指向型に比べると技術指向型の
ものが、技術指向型のものに比べると知識指向性の高い組織体の方が、より経
済合理主義に徹しており、同じベンチャー・ビジネスでも最新技術とノウハウ
を誇るものになればなるほど、情緒性は乏しくならざるを得ない現実がありま
す。日本人は分かれたり解散するのが苦手ですし、不要なスタッフを切り離す
のは非人情だという家族主義的気分が、温情の形で価値観の基準になっていて
、みな組織の中にかかえこむのがほとんどです。一度雇ったらクビは切れない
し、組織が非生産的な人間の重みで動きが取れなくなっても、自滅寸前までそ
こにしがみついています。しかし、組織は運命共同体ではなく、ある課題を実
現する目的で作られた乗りものにすぎない以上、ビジネスをやる組織は、目的
の変更によって自由自在に動ける状態にない限り、自らの重みに耐えかねて自
滅してしまうのは世の習いではありませんかね。

●ベンチャー・ビジネスというのは、多分にプロフェショナリズムと結びつい
ており、企業家精神が科学的研究や技術開発能力と結びついてビジネスを営む
状態で組織化されたものとでも規定できるのではないでしょうか。

●日本にも多少ながら素晴らしいベンチャー・ビジネスが存在していますが、
日本の産業構造の中で、ほとんど注目される存在になりえていないのは、それ
なりの理由があります。まず第一には、ベンチャー・キャピタルが存在しない
ことです。第ニは、日本の産業社会という風土の中には、個人主義の思想にも
とづいた創意の評価と、実力競争の原理の上に立つフリーエンタプライズの基
盤がないことです。幾らか企業家精神の持ち主がいても、ノウハウを商品化す
るための資本が結びつかない限りビジネスは動き出しません。

 最後に、「日本脱藩のすすめ」で言及されていない、インターネットと起業
について、読者に役立ちそうな情報をお伝えしておきます。日本語に限定した
場合でも、ビジネス、SOHO、起業に関するメーリングリスト(ML)が沢
山あるようです。著者自身も幾つかのビジネスMLに参加していますが、その
中でも最も活発であり、最も良質の情報を提供してくれるMLを紹介しておき
たいと思います。
「和僑」。「わきょう」と読みます。起業家あるいは起業志望家の群れが集う
MLです。和僑MLの活動内容は、ホームページ「和僑」から知ることができ
ますので、覗いてみてください。
http://www.wakyo.net/
 因に著者もメンバーの一員です。起業を志す方は、参加して損のないMLだ
と言えそうです。

 次回は、国際結婚について筆をすすめていきいたと思います。



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脱藩道場 編集部  亀山信夫 葛巻岳
問い合わせ先 webmaster@dappan.org
ホームページ http://www.dappan.org/
発行 インターネットの本屋さん『まぐまぐ』http://www.mag2.com/
マガジンID 0000006881
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