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日本脱藩のすすめ 第14号
「情報(2)」
1998/12/07
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前回に引き続きまして、今回も情報について、筆を進めていきたいと思いま
す。
最初に、前回の【日本脱藩のすすめ】第13号を読まれた在アメリカの藤原
肇さんから、下記のようなコメントが届いています。一読下さい。
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拝復
第13号の「情報」を受け取って読みましたが、脱線以下の部分は全く語学
屋レベルの議論で情報理論には無関係であり、落胆。こんな英語屋のお喋りに
つき合わされたのでは読者が気の毒です。意味論(セマンティックス)抜きの
情報論でも堪え難いのに、Intelligence とInformationの識別も行われないレ
ベルで、単なる英和辞典の水準でインテリなる言葉の用語法を読まされたので
は時間のムダ以外のなにものでもありません。こんな俗語の使い方や慣用句の
レベルで目下最も重要な概念であるT情報Uをもて遊ぶとしたら情報理論を構
築した人達への冒涜と侮辱になると心配です。古代のサイエンスであった仏教
でさえも、低レベルのIntelligenceを知能と訳し、高いレベルのものに対して
知慧、最高レベルのものに智慧という文字をあてたことを、歴史は教えていま
す。
知性という言葉を乱用して本人の痴けぶりを露呈し、知性を手垢だらけにし
て汚辱した渡部昇一なる男の名前まで出て紙面を汚していますが、この男のふ
りまく狂った毒が日本を亡ぼすということを予告して21年前に書いた1978年
4月に出た『史』の「亡国の兆し」という記事を別便で送ります。この手紙と
共に読者に供覧して、貴記事を一書にする時に収録して頂ければ幸甚です。
敬具
亀山信夫様
藤原肇
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藤原さんのコメントには一言もありません。
今回は、藤原さんの書かれた『インテリジェンス戦争の時代』等を基に“情
報”を述べる予定でしたが、その前に、上記の藤原さんの手紙にある「意味論
(セマンティックス)」の解説が必要かと思います。
実は、作者は先月、藤原さんにお会いしています。その時、藤原さんから出
た言葉に「日本人でセマンティクスが分かる人は、5人くらいしかいない」と
いうものがありました。
では、日本人で分かる人は5人といないというセマンティックス(意味論)
とは、何か?
ここで、藤原さんの著書『経世済民の新時代』(東明社刊 p.170)から引
用してみましょう。
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セマンティックスなき日本は国際化できない
藤原:私は以前から思っていたのだけれども、言わないできたことが一つあり
、それは日本には西洋で言う[百科全書派]がいない点です。
正慶:たしかに現代の日本には[西周]がいない。
藤原:百科事典は豪華本でたくさん出ているが、単なる飾りになっていてよま
ないし、それを編集するだけの優れた総合的な頭脳がない。
正慶:その点で西周は偉かったですし、第一に彼の名前がいいですね。[西洋
]の西に[周(あまね)]は[普遍]に通じる言葉です。やはり西洋のことを
日本人に一日でも早く知らせたいし、それでないと西洋に追いつくことが出来
ないと、こう発想したのでしょう。それが名前にまで現れている。それにして
も、[インテリジェンス]を[智慧]という漢語に訳したというのは、実に面
白いですね。
藤原:新しく作られた漢語が新しい概念として、百科事典に採用されどんどん
広がっていくわけです。ひと頃の日本で盛んに[大平洋の時代]と言われまし
たが、最近その[大平洋の時代]が日本を置き去りにして、別の形で実現しつ
つあるように思う。華南経済圏とか台湾やベトナムなどが脚光を浴びているの
は、その証拠と言っていいでしょう。私の本が中国語に翻訳されたことが、日
本を置き去りにした[大平洋の時代]をアクセレレートしているようで、内心
ジクジたるものがあります。
正慶:日本を排除した[大平洋の時代]の、藤原さんが加速因子になっている
わけだ。
藤原:それは私がやっているのではなく、世界の読者がやっているわけだから
、私としてどう仕様もありません。
正慶:[智慧]という新しい概念を考え出すところは、さすがに漢字的文明圏
は偉大ですね。
藤原:このように漢字による新しい概念がどんどん生まれてくれば、大陸で推
進されてきた漢字の簡略化などは、完全に吹き飛んでしまいますよ。ワープロ
が普及すれば古い漢字でも問題なくなるし、概念が新しくついてくれば、簡略
化した文字では全然役に立たなくなる。
正慶:意味が狭くなってしまいますからね。
藤原:そのあたりの意味が分かる人が、日本にはいないんですよ。
正慶:セマンティックス(意味論)ですね。
藤原:セマンティックスという言葉を理解できる人が、今の日本には少ないの
じゃないですか。私が『平成幕末のダイアグノシス』という本を出した時に、
広告を見たある商社の副社長が『藤原さん、今回は地質学者として恐竜の本を
書かれたんですか』というので、何のことか分からずに面食らったのですが、
[ダイアグノシス(診断)]を恐竜の[ダイノゾア]と混同しているんですよ
(笑い)。いくら『ジュラシック・パーク』の映画がヒットしたからといって
も、この間違いは酷いものですよ・・・。
正慶:商社の副社長にしてその程度なんですね。日本人は戦後テクニカルなス
キル(工夫)はうまくなったし、ヒューマン・スキルもある程度はうまくなっ
た。しかし、コンセプチュアルなスキルにおいては、依然として落第なんです
ね。一つのコンセプトを深めたり、広めたりしていくことができなくて、セマ
ンティックスのレベルまで達していない。
藤原:片仮名語は氾濫しているけれども、中身の方がついていってない。
正慶:ジャパン・プロブレム(日本問題)というのは、実は日本にセマンティ
ッックスがないことから生まれている。
藤原:そう。意味論がなかったらコミュニケート出来ないし、国際化とはセマ
ンティックスの一般化のことなのです。
正慶:セマンティックスがないから、ディベートも出来なければ、取引もでき
ない。
藤原:国際的に相手にされないのも当然ですよ。
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ここまで読まれた読者は既にお気付きでしょうが、セマンティックスとは、
ディベートで言う、単なる言葉の定義付けではありません。文明、思想等をも
巻き込む奥の深いものです。
和書でT意味論Uを正しく著述している本は皆無だと思いますので、洋書か
ら意味論に入られるといいかと思います。Condon John C.,Jr.の『Semantics
and Communication 』等多数あります。洋書データベースで検索されるといい
でしょう。また『ニューリーダー』(1994年 新年号)で藤原さんと小室直樹
博士が「意味論」について語り合っています。入手次第、拙メールマガジンに
転載しますので、読者の議論、批判をお願いしたいと思います。
さて、藤原さんと正慶孝明星大学教授のダイアログからおぼろげながらもセ
マンティックスの輪郭を掴んで頂けたと思いますので、次回から、21世紀を
生きる脱藩人として、どのように己のT情報力Uを磨いていくのかという点に
的を絞っていきたいと思います。
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脱藩道場 編集部 亀山信夫 葛巻岳
問い合わせ先 webmaster@dappan.org
ホームページ http://www.dappan.org/
発行 インターネットの本屋さん『まぐまぐ』http://www.mag2.com/
マガジンID 0000006881
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★脱藩を志す方に、メーリングリスト【日本脱藩のすすめ】をお勧めします
詳細は、上記URLまで。
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発行部数 464
良い議論です。 久し振りに、内容のある E-Mailを読みました。渡辺 |