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日本脱藩のすすめ 第44号
セマンティックス(4)
1999/07/19
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[お知らせ]
脱藩道場・編集部では、約一ヶ月間ほど日本を留守にします。そのため、し
ばらくの間メールマガジンの配信を一時中止することにします。次回のメール
マガジン【日本脱藩のすすめ】第45号(中国古典シリーズ)は8月23日に
、第46号(コミュニケーション・シリーズ)は8月30日にそれぞれ発行の
予定です。
[2] 日本における「意味論」の欠如
藤原:セマンティックスは日本語では意味論と言っている。
言葉がある特定の意味をどうやって獲得し、他の言葉とどん
な関連を持ち機能するかを理解して、コミュニケーションを
する場合に、ある言葉がどんな枠組みで定義され、どんな概
念を含んでいるかを知ることだ。歴史的に見れば、ヨーロッ
パでは18世紀に百科全書派が登場し、辞書を作るなどして
言葉をいちいち定義したが、日本ではそれが無かったために、
未だに言葉の概念が不明僚のままでいる。
ここに明確なセマンティックスの定義があります。第38号でも違った角度
からのセマンティックスの定義がありますので、参照にしてください。
参考までに、手許のブリタニカ百科事典で調べたところ、セマンティックス
を次のように定義していました。
[semantics]
also called SEMOLOGY or SEMASIOLOGY, the study of mean-
ing. It may be (1) approached from a philosophical, or
logical, point of view, emphasizing the relationship be-
tween signs, or words, and their referents and including
such concerns as naming, denotation, truth, and connota-
tion; or (2) regarded from a linguistic point of view,
focussing on such topics as meaning changes through time
and the interrelationship of language structure, thought,
and meaning.
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藤原:政治改革なんていうものも選挙制度にすり替えられて
小選挙区制に歪曲されているが、これはセマンティックスが
わからないのを悪用した、政治的な詐欺の一種に他ならない。
今の政治家で、セマンティックスが分かる者は皆無に等しいのですから、そ
うした連中がセマンティックスを悪用したというよりは、白を黒と言い包める
という詐欺行為を働いたと言った方が、より正確な表現なのかもしれません。
政治の話で思い出しましたが、面白い記事を読みました。それは、1999年5
月19日に International Herald Tribune (HT)のホームページに載って
いた記事です。
TOKYO - When environmentalists in southern Japan
started worrying thatthe chemical runoff from a
proposed golf course would pollute an unspoiled
island, they asked local officials for a copy of
the environmental impact report on the envisioned
development - and were told that it was none of
their business.
"In democratic countries like America, this may
seem hard to believe, but the reason they gave was
that ordinary people would not be able to understand
the technical language," said Ryuji Nishida, an
attorney. "They said it would only cause confusion."
……………………
(By Sonni Efron Los Angeles Times Service)
脱藩道場・編集部が上記の記事を読みながら、即座に脳裏に浮かんだのがか
つてのゴルバチョフです。思えば、ゴルバチョフがソ連の表舞台に登場し、矢
継ぎ早に数々の改革を進めたことで、ソ連邦の崩壊という20世紀最大の事件
の引き金になりましたが、それがつい昨日のような気がします。
そして、ゴルバチョフが強力に押し進めたペレストロイカとグラスノスチの
再現が、今日の日本にとって必要かつ緊急課題であるとつくづく思った次第で
す。
上記の記事で、某役人が「……ordinary people would not be able to
understand the technical language. It would only cause confusion.……」
と言っているくだりがありますが、これは市民を愚弄しているのみならず、情
報の何たるかを知らない人のことばです。
日本でも本当の行政改革、すなわちグラスノスチを必要としていますが、肝
腎な行政改革が不透明であり、大した成果も得られないまま堕落しています。
その原因のひとつが非ペレストロイカ、すなわち情報が非公開であるというこ
とがあげられると思います。そのため、公開された情報を分析し、評価してい
くというインテリジェンスを磨く訓練がなされてこなかったのが実情です。
日本が、これから本格化する情報化社会でリーダーシップを発揮していくに
は、情報公開は必定であり、日本にもゴルバチョフのような胆力のある、優れ
た指導力を発揮する人材の登場が待たれるところです。
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小室:日本語というのは極めて不思議な言葉であり、あうん
の呼吸だとか以心伝心だとか言う。要するに、論理を媒介に
してコミュニケートする習慣がなく、これは韓国人とも中国
人とも違っている。その理由は、日本はそのような国と違っ
て外国に征服されたことがないし、逆に、世界帝国を作った
ことがないからだ。そして、徳川260年の鎖国によって、
言葉がなくても通じるような一種の共通の無意識というか、
言葉にならない言葉ができてしまったし、言葉というものが
発達しなかった。
これは、この発言の後で小室さんが述べているように、日本ではコミュニケ
ーション、すなわち、自分と立場や考え方が根本的に違う人を説得ということ
が必要がなかったということの証に他なりません。
前々号(第42号)で、コミュニケーション能力を身につけるためにディベ
ートをやれと書きましたが、それ以外に、外国語を学ぶということもコミュニ
ケーション能力を高めるためのもう一つの方法なのかもしれません。(ここで
言う外国語を学ぶというのは、受験勉強でやるような単語を丸暗記したり、英
文法の本を読むといったものではないことに注意)ゲーテではありませんが、
日本語しか知らないということは、本当の自国語の姿をも知らないのだと断言
しても差支えないと思います。
例として、“情報”ということばがあります。当メールマガジンでは、過去
幾度となく情報にはインフォメーションとインテリジェンスの二つの意味があ
るといういうことを述べてきました。しかし、相変わらず情報とは新聞の記事
を切り抜き、整理することだと思っている人がほとんどのようです。
自国語だけですと、いつまでたっても情報=インフォメーションのままで終
ってしまうと思います。
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藤原:霞ヶ関では課長クラスが何でも決めていて、局長は何
もわかっていないのが日本の官僚制だ。国会でも代議士なん
ていちばん無知であり、閣僚は何も知らないお殿様の現代版
だから、政府委員と称する課長クラスの役人が、大臣の代理
で答弁している。
上記の発言はまったくその通りであり、否定のしようがありません。なるほ
ど、言われてみれば今の国会議員は現代版のバカ殿様であり、官庁の課長さん
たちが家老という構図は絵になりそうです。
なお、セマンティックスの観点から、日本とアメリカの議員の違いを、第3
8号の「議員とロビイスト」で述べてありますので参照願います。
次のセマンティックス(5)は、8月30日(月)にお届けする予定です。
読者の皆さん、元気に夏をお過ごしください。
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※ 今号は、第40号の【意味論音痴が日本を亡ぼす】がベースです
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会に是非ご参加ください。
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