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日本脱藩のすすめ 第49号
Y2K(2)
1999/09/20
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[はじめに]
前々号では、「来年の元旦は何が起こる? 悪魔のシナリオ」という短編小
説をお届けしましたが、如何でしたでしょうか。その短編小説は、最近のマス
コミを賑わしている、Y2K(西暦2000年問題)をテーマにしたものであり、
今年の大晦日から元旦の早朝に至って、2Kによって引き起こされるであろう
最悪のケースを描いていたものでした。
今号では、日本の電気・ガス・水道・通信などといったインフラが、長期間
にわたって復旧する見通しが立たないといったケースから、外国の核ミサイル
の暴走、原子力発電炉からの放射能漏れといった最悪のケースまでを想定し、
個人として、どういう心構えが生き抜いていくために必要かという点に的を絞
って筆を進めていきます。
[1] 来年の元旦、世界はどうなるか
前々号の短編小説を読んだ読者の中には、依然として半信半疑の人がかなり
いるものと想像します。電気・水道・通信などが止まるだけではなく、核ミサ
イルの暴走まで起こると書いてあるが、果たして本当なのだろうかと。
そもそも、Y2Kとは何でしょうか?
前々号で紹介した足立晋さんのY2Kサイトでは、Y2Kについて次のよう
に述べています。
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コンピュータ上で「西暦年」をデータとして扱う際、長年
にわたり、完全な4桁ではなく、習慣的に下2桁で表現し
てきたことに起因するところのあらゆる種類のコンピュー
タ・システムの崩壊や混乱と、それから派生するいろいろ
な技術問題、経営問題、社会問題、国際的な問題の総称。
http://www.y2kjapan.com/jp/docs/2000/2000.asp
====================================================
そして、ここがポイントなのですが、Y2Kについて確実に云えることは、
、人類全体にとって、Y2Kは初の体験であるだけに、来年の元旦に何が起こ
り得るのかは、誰も分らないということです。
そのため、来年の元旦は、いつもの通り何事もなく迎えられると云う人もい
るかと思えば、最悪のケースとして、日本にある51基の原子力発電炉が誤動
作をあちこちで起こし、日本中に死の灰が降って多くの人が放射能の影響で死
亡する、あるいは各国の核ミサイルが暴走し、それが全面的な核戦争にまでエ
スカレートし、人類の滅亡に繋がると主張する人まで、様々です。
しかし、今の日本の「空気」は、そうした暗いニュースはあまり歓迎されま
せん。ただでさえ、戦後最大の不況の最中で大変だというのに、来年の元旦に
起こるであろうパニックの話など聞きたくもなければ、読みたくもないという
のが今の日本全体を覆っている「空気」のようです。
[2] サバイバル術
ところで、「来年の元旦は例年と変らない。」とか、「来年の元旦は、悪く
ても数日電気・ガス・水道が止まる程度で済むだろう」と云う人たちは、もし
それが数日どころか、数ヶ月、あるいはそれ以上続いた場合、どうするのでし
ょうか?
ここで、大事なことは、そういう事態になった場合のことも考え、如何なる
事態になっても、失望せず、生きていくのだという心構えを持つことだと思い
ます。また、同時に万一のことを考え、個人個人の判断でそれなりの備蓄をし
ておくべきなのではないでしょうか。
無論、基幹インフラが数ヶ月停止するといったレベルよりも、さらに危険な
レベルがあるのは、既に述べた通りです。それは、原子発電炉から大量に放射
能が漏れた場合はどう対処するのか、核ミサイルの暴走が引き金になって全面
的な核戦争に突入した場合、どのように死の灰から身を守るのかなどです。
いずれにせよ、基幹インフラが数ヶ月停止したというレベルから、最悪のレ
ベルで、社会はどうなるのか、そして、個人として、備品などの準備も含めど
う対処したらいいのかといったことについては、書店に並んでいるY2Kをテ
ーマとした本に書かれてありますので、それらの本を参照してください。
また、インターネットでもY2K関連のサイトは沢山あります。検索エンジ
ンなどで読者自らあたってみることをお勧めします。
[3] 個人へ課された試練
さて、サバイバルと云っても、数ヶ月あるいは一年もすると、食糧が尽きる
、精神的にストレスが溜まり限界に達する、といったことが考えられ、日本を
はじめとする全世界は大混乱に陥ります。
ここで、問題の西暦二桁を四桁に直しさえすれば、Y2Kの問題は発生しな
いのだから、今から急いでやれば大丈夫ではないのかという疑問も当然出るで
しょう。
ところが、悲観論者、楽観論者を問わず、「来年の元旦があと三ヶ月に迫っ
た今となっては、もう手遅れである。」という意見で一致しているのが現実で
す。
では、あとは、来年の元旦に最悪の事態にならないように祈るしかない、あ
るいは潔く死を覚悟するしか残された道はないのでしょうか?
しかし、まだ希望は残されているのです。そして、その希望とは、私たち自
身の心の中にあります。
心の中にある希望とは何か?
それは、私たちの今までの生き方・考え方を、根本的に変革してしまうこと
です。すなわち、最悪の状態に陥っても生きていくためには、今までの殻を脱
ぎ捨て、己れ自身の新しい思想・哲学を樹立していくことです。すなわち、脱
藩のすすめです。
そうした、個人として、どう生きるべきかを考えた場合に、脱藩道場・編集
部と生き方について認識を共通している人がいます。稲田芳弘さんと云い下記
の自著を出しています。一読をお勧めします。
・『Y2K 最新最終事情』(足立晋・稲田芳弘・越智洋之共著 三五館)
・『Y2K サバイバル・シフト』(稲田芳弘・越智洋之共著 三五館)
その稲田さんが次のように述べています。
★2000年問題は、人類の進化のために用意されたラッキーな思いがけな
いプレゼント
この稲田さんの意見を聞く限りは、稲田さんは楽観主義者という印象を与え
かねないのですが、現実は逆です。稲田さんは、さらに次のように述べていま
す。
★“もはや間に合わないのではないか”とぼく自身が最悪の事態の襲撃を受
容している
つまり、稲田さんは、Y2Kは避けられ得ぬものであり、心静かに来年の元
旦を待つという心境に達しているのです。何故、達観できたのか。それは稲田
さん自身が心の中にある希望を見出したからに他なりません。
脱藩道場・編集部では、今までに幾度か情報革命について説き、新しい時代
に備えて修行を積もうと訴えてきました。脱藩修行について改めて述べるとい
うことは、過去発行したメールマガジン【日本脱藩のすすめ】と重複すること
になりますので、割愛させて戴きます。
脱藩修行とは何かということについて関心のある読者は、当メールマガジン
のバックナンバーを参照願いたいと思います。脱藩修行や情報革命について述
べたものに、たとえば、第23号の「情報革命と脱藩」などがあります。
http://www01.u-page.so-net.ne.jp/rb3/nobuo-km/dojo/bulletin.html
稲田さんの云う「希望」、編集部の云う「脱藩」を普及させてくれるという
意味で、Y2Kはまさに「人類の進化のために用意されたラッキーな思いがけ
ないプレゼント」です。Y2Kがきっかけとなって、続々と脱藩志願者が脱藩
道場の元に集ってくることを期待してやみません。
[終りに]
個人としてY2Kを自己改革のチャンスとして捉えようという観点で筆を進
めてみましたが、如何でしたでしょうか。質問・意見などがありましたら、お
寄せください。
次回は、人類はY2Kという試練にどう挑むべきかという観点の話を、再来
週の当メールマガジンで述べる予定です。
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■稲田芳弘さんからのメッセージ■
今号でご紹介しました、稲田芳弘さんから貴重なメッセージを戴きましたの
で、以下に転載致します。
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亀山さんも提唱されるように、現代社会は「藩=ある種の価値観・社会シ
ステム」にがんじがらめになっており、そこから脱出して柔軟で自由な地点
に飛び出さない限り、人類に希望の未来はないとぼくは考えています。私た
ちの骨の髄まで染み付いた錯覚や呪縛からの解放こそ、21世紀を開くカギだ
と思います。
その意味でコンピュータ2000年問題は、非常にいいチャンスなのではない
でしょうか。この問題は私たちの仕事や暮らしや生き方までも含め、いろん
な問題を改めて考えさせてくれる格好の機会だと思っています。
にもかかわらず日本の社会(多くの日本人)は、いまなおこの問題を軽視
しています。軽視どころか、事実を事実として見ようとせず、自分の頭で自
分なりに考えようとしていません。そしてただお上(政府・大企業・マスコ
ミ等)の発表をそのまま信じているだけです。その姿はぼくの目には、過信
・盲信・狂信に見えます。ある意味でとても無邪気で素直な国民なのだろう
と思います。
先日のあるY2K講演会で、この夏休みに起きた「玄倉川のキャンプ事
故」をまず例に出してお話しを始めました。なぜ、あの事故は起こったの
か? マスコミはキャンパーたちのマナーや危機意識の欠如、また急変する
自然の怖ろしさを強調していましたが、ぼくにはそれ以前に、もっと重要な
問題があの事故には秘められているのではないかと考えたからです。
ちょっと想像してもみてください。もしも上流にダムがなかったとしたら
どうだったでしょう。あのときは上流域で豪雨が降っていたのですから、雨
は自然に任せて徐々に川に流れ込み、しだいに水かさを増していったはずで
す。となれば、いかに呑気なキャンパーたちとはいえ、たぶんどこかの時点
で「これはヤバイ!」と気がついたでしょう。しかし実際には上流にダムが
ありましたから、ダムの下の玄倉川の水かさが「徐々に増える」ということ
はありませんでした。理由は、ダム管理者が自然増水にまかせず、水量(放
流)を「管理=コントロール」していたからです。
キャンパーたちは「自然増水」をしない川を見て、「大丈夫」と考えたこ
とでしょう。いくら警告されても、以前キャンプしたときも大丈夫だったと
いう経験もまたその思いを強めました。しかしダムはすでに決壊寸前にあ
り、放流は時間の問題になっていました。そしてついに一気に放流が始まり
ます。この段階で、それまで穏やかだった川がいきなり濁流に変わってしま
ったのです。
この図はそのままY2K報道の姿です。実際には危機的な情報や事実(
雨)があふれ返っているというのに、ダムの管理者たち(政府・行政・企業
・マスコミ)はその情報(雨)をダムに貯めたままコントロールしていま
す。この場合のコントロールは「自粛・自己管理」を含めます。だから下流
で楽しくキャンプをやっている国民はダムが決壊するなどとは思ってもいま
せん。いくら川岸から警告のメッセージが発せられても、「大丈夫だよ。心
配性なんだなぁ」としか思いません。要するにダムに対する過信があるばか
りで、豪雨に対する危機感がほとんどないのです。
しかしY2Kの現実は、危機的な事実と情報に満ちあふれています。しか
もY2K問題の本質は、雨がダムを決壊させるといったものではなく、ダム
に仕掛けられた時限爆弾が2000年に炸裂するというものです。雨がダムを壊
すのではなく、ダム自体が必然的に破壊されるのです。そのとき、間違いな
く大洪水がキャンパーたちを見舞うでしょう。呑気に眠り込んでいた人々は
突如として発生する大濁流に飲み込まれてしまいます。
ここでぼくが問題にしたのは、実は「ダムの思想」です。ダムは自然のエ
ネルギーをコントロールする人工的な装置であり、人々に電気や水を提供し
てくれるものです。またそれは自然の脅威から人々の安全な暮らしを守るも
のでもあり、ダムは人々にメリットを与えこそすれ、それが問題を引き起こ
すなどとは考えられていませんでした。しかし、ダムの思想の本質は実は
「コントロール=管理・支配」にあり、コントロールの仕方しだいではとん
でもないものに化けてしまいます。今回の事故のように、土壇場まで放流
(自然増水)せず、いきなり放流しては、それが逆に人々を濁流に巻き込む
恐るべき凶器に変わってしまうのです。
ダムは、上流から下流をコントロールするという意味において「ピラミッ
ド型価値観」をシンボライズしています。つまり上の者が下々を管理すると
いう思想の現れです。このことはあるいは「藩の思想」といえるのかもしれ
ません。その意味でまさに「脱藩」にこそ自由で幸せな生き方があると言っ
ても差し支えないでしょう。
こじつけがましく余計なことを書いてしまいました。しかし1995年くらい
からアメリカのY2K情報に接してきたぼくとしては、それ以来ずっと「危
険な雨」を感じ続けてきました。もしそのころから日本も本気でこの問題に
取り組んでいたとしたら、いまさらあんな本を出版する必要などなかったに
違いありません。しかし実際には、2000年まであと4カ月足らずと迫ったい
まなお、日本の社会では「大丈夫・心配ない」のオンパレードです。ここま
で来てしまった以上は、とにかく危険な中州から離れ、ダムの水に頼らない
生き方を探し出さなくてはなりません。そして、いざ本気で新しい生き方や
暮らしのシステムを捜してみると、「なぁんだ、こんなにいい方法が隠され
ていたのか!」という実に楽しい発見に出会えます。お上に頭を下げながら
ダムの水のおこぼれに頼らずとも、ちょっと足を延ばしてみれば、あちこち
にいろんな湧き水が豊かにあふれ返っているのです。
『Y2Kサバイバル・シフト』では、そのことをぜひ伝えたいと思って出
版しました。お読みいただければ分かると思うのですが、ぼくはY2Kその
ものに対してはかなりの悲観論者ですが、大きな視点から考えればとてつも
ない楽観論者です。Y2Kをむしろ「脱藩?」の絶好の機会と考えているか
らです。そのことを単なる言葉(理想論)で説明してもたぶん信用してくれ
ないでしょうから、例えばエネルギーに関してはブラジルの「脱化石燃料に
よる工業化実現」や「自然農法」「斎藤牧場」「雑草エネルギー」などとい
った事例を簡単に紹介することで「現代人が呪縛されている錯覚」を指摘さ
せていただきました。
そうです、生き方・考え方さえ変えるなら、Y2Kは決して怖いものでは
ありません。もっともある期間は当然ある種の混乱に巻き込まれるでしょう
が、出口の方向さえ見えているなら心配ありません。大事なことは、たとえ
石油が一滴も入らなくなっても長期的に考えれば全く心配ないということで
す。
ここ数日の新聞を見る限りでも、悲観的な情報が続々と報じられていま
す。9月11日の日経は、「航空管制の2000年問題・53カ国で対応に不安」
「米運輸省・運航見合わせ指示も」という見出しのもと、アジア太平洋地
域、中南米、旧ソ連・東欧などへの航空機の運航が危ぶまれているという記
事を掲載しました。また同日の同紙は「原油価格がドバイで最高値」をつ
け、石油製品の取引価格やニッケルなどの売買価格が高くなっていると報じ
ました。世界は明らかにY2Kを意識して動いています。こうした動きは当
然日本の経済にも影響してきます。
また今朝(12日)の日経には「米政府の2000年問題対応」「国防総省など
遅れ目立つ」とあり、「議会調査・時間切れを警告」とありました。世界の
トップを走っているアメリカにしてこのざまです。以上はきのうと今日の新
聞報道の一部ですが、インターネットを覗けばこのレベルではありません。
つい先日も「日本の企業との貿易が2000年にストップする」といった警告が
アメリカで発せられています。
こうした情報はいわば「雨」です。ダムにはものすごい雨が貯まっている
のです。その意味ではやはり悲観的にならざるをえません。でも、ご安心く
ださい。まだまだ中州から逃げ出す時間はあります。新たな生き方を考える
時間も、さらにそれを支える技術もあります。最終的に原発事故や核兵器な
どの暴走を防ぐことができるとしたら、Y2Kは人類史への素晴らしいプレ
ゼントにもなりうる可能性が残されています。
しかしやはりある程度の覚悟はしなければならないでしょう。いくら日本
が発表どおりの優等生?であったとしても、外国のトラブルは必ず回り回っ
て日本に影響を及ぼすからです。国内の小さな問題も、それらが同時多発す
ることによってさまざまな連鎖波及的な悪循環が考えられます。すべてがつ
ながり合っている社会だけに、「自分(あるいは日本)だけは大丈夫」とい
うことは決してありえません。しかし「雨のち快晴」という明日を迎えるた
めにも、まずは最悪の事態を想定して、ベストの出口の方向をいまからしっ
かりと見極めておくことが必要なのではないでしょうか。
**稲田 芳弘 <09/12 16:06> **
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【編集後記】葛巻 岳
皆様、お元気ですか。当メールマガジンの編集をお手伝いさせていただいてい
る葛巻と申します。
厳しかった残暑も徐々に和らいできました。季節はいつものように規則正し
く移り変わっていく一方、私たちの社会は、混迷を深めていっているように感
じます。Y2Kをはじめとして、さまざまな事件、出来事のニュースに接して
いると、脳天気な私でも、これからどうなってしまうのか不安にかられます。
こうした環境で自分を見失わないためには、自分なりの判断の基準になる座標
軸が重要なのでしょう。とかく世間の「常識」に流されがちの私にとっては、
自分なりのものの見方を獲得するよい機会であると考えて、この時代を泳いで
いきたいと思うこのごろです。
皆様の「水泳術」とはどのようなものでしょうか。
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脱藩道場 編集部 亀山信夫 葛巻岳 福田潤
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