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               日本脱藩のすすめ  第50号
                
                 セマンティックス(7)

                                                       1999/09/27
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[はじめに]

 読者の皆さんのお陰で、今号でメールマガジン【日本脱藩のすすめ】第50
号発行の運びになりました。今日までの一年間、メールマガジン【日本脱藩の
すすめ】を読み続けてきた皆さんに対し、心からお礼を申し上げます。
 そして、二年目に入り、今後の展開に期するものが編集部の3人にはありま
す。どうか二年目も宜しくお願い致します。



[5] まかり通る「悪質な偽訳とすり替え」

    藤原:戦争と平和に関しての考え方に差があるにしても、日
    本で使われている言葉のいい加減さは実に酷い。ジャーナリ
    ズムが意味論がわかっていないし、デタラメな用語法が氾濫
    している。あなたが強調している国際連合にしても、あれが
    日本を敵視した軍事同盟だというのに、それが日本人には全
    く理解できていない。また、湾岸戦争の時に日本では多国籍
    軍などと呼んだが、冗談じゃない、あれは同盟軍とか連合軍
    と呼ぶべきであり、言葉のすり替えに日本国民は騙されてい
    た。

 国際連合は、「日本を敵視した軍事同盟」という上記の発言を目にし、ドキ
ッとした読者も多かったはずです。
 そのあたりは、周囲を見渡しますと国際連合を平和のシンボル程度にしか考
えていない人がほとんどであるということからして、無理もないことだと思い
ます。
 しかし、ここで上記の発言にある「日本を敵視した軍事同盟」というのが海
外の常識であることを、肝に銘じておく必要があるのではないでしょうか。こ
れを理解することが、セマンティックスへの第一歩につながるのです。

 また、権力に日本国民が騙されないようにするために、現在のテレビ・新聞
は社会の木鐸としての役目を果たしているのでしょうか?
 残念ながら、現実は、重要なニュースや真実を伝えずに、どうでもよい記事
ばかりを流しているのが日本のマスコミの実情です。以下の発言に注目してく
ださい。
 
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    藤原:この国の政府が国民に嘘っ八を言ったことは、歴史を
    読めば誰の目にも明らかであり、敗戦を終戦と書き占領軍を
    進駐軍と呼んで、意味を意識的に歪めて“騙しの政治”を続
    けて来た。いちばんひどいと思ったのは“文民警察官”だ。
    警察は国内の治安に当たるものであり、軍隊が国際間の治安
    に関与するのである。警官が外国に出かけて行動していたの
    に、ジャーナリズムはその脱法行為を問題にしなかった。

 上記の発言者である藤原肇さんが、『朝日と読売の火ダルマ時代』(国際評
論社)という本を出しています。日本のマスコミの現状を余すところなく伝え
ているだけでなく、堕落したマスコミが再生するにはどうすれば良いのかとい
った提言も含まれており、マスコミ関係者だけではなく、広く一般の日本人に
も読んでもらいたい名著の一冊です。(この本の紹介がホームページ【日本脱
藩のすすめ】にあります。)
http://www01.u-page.so-net.ne.jp/rb3/nobuo-km/fujiwara/books/asahi.html

 編集部(主幹)は、常日頃からこの本を多くの心ある人たちに一読を勧めて
きました。しかし、中には、ホームページ【日本脱藩のすすめ】にある『朝日
と読売の火ダルマ時代』の「まえがき」、「目次」を読んだだけで「これはマ
スコミを扱った本ではないか。自分はマスコミ関係者ではないのだから、関係
ない」と言う人も一部にいて、そうした言葉を聞くたびに非常に残念な思いを
してきたものです。

 セマンティックスを身につけたいと思う人にとって、心しなければならない
のは、常に本物の情報に接していくという姿勢です。何故なら、セマンティッ
クスをマスターするということは、ことばの持つ歴史的・社会的背景を鋭く見
抜ける眼力を持つということであるため、偽情報・ガラクタ情報に接してばか
りいると、せっかく培った眼力が曇り、衰えていくばかりだからです。

 マスコミが知的誠実さを無くし、権力に対峙していくという役割を放棄して
いるのが現在の常態であり、戦時中に大本営の発表を繰り返してきたかつての
マスコミと何ら変るところがありません。事実、編集部の周囲の知人・友人に
はそうした腐ったマスコミの体質を敏感に嗅ぎとり、朝日・読売などは一切講
読もしなければ目を通すこともせず、また、くだらない芸能ネタばかりを流す
テレビを見ていると頭がおかしくなるということで、テレビ無しの生活をして
いる友人・知人も少なからずいます。

 新聞も読まなければ、テレビも見ないというのも、マスコミの流すガラクタ
情報を遮断するひとつの賢いやり方であり、『朝日と読売の火ダルマ時代』で
は、「今の日本では新聞やテレビを見ない人の方が、見る人より問題の本質を
正しく捉えており、マスコミはマスゴミになっています」と述べているほどで
す。

 編集部の場合、そこまで極端ではなくとも、やはり日本の新聞はサーと目を
通す程度であり、テレビに至ってはほとんど見ることはありません。それは、
日本のマスコミの大本営発表ばかりを読んでいても、時間の無駄になるだけと
いうことが明白であるので、日本の巨大ゴミであるマスコミにはなるべく接し
ないように心がけているためです。その代わり、インターネットで本物の情報
に接したり、外国の新聞を定期講読することで、本物の情報に接するように心
がけています。そのあたりについては、メールマガジン【日本脱藩のすすめ】
第25号の[海外の雑誌・新聞を読む]に詳しく書きましたので、参照願いま
す。

 また、日本では愚民化政策という問題もあります。そして、日本のマスコミ
も権力の愚民化政策に協力しているのが現実です。こうした日本のマスコミ、
特に読売の陰謀を述べたのが、『朝日と読売の火ダルマ時代』の第六章「大衆
紙の愚民化工作とダンピング」です。この章に書かれてある、日本の大新聞が
愚民化に、どのような手を使っているかについて述べた箇所を読むだけでも、
彼らのまき散らす「ディスインフォメーションや、心地好い愚民政策用の甘言
は至る所に氾濫」という毒から、読者自ら身を守るという防衛策が立てらると
思います。

 いずれにせよ、セマンティックスをモノにしたいと思う者にとって、如何に
良質の情報を確保するかが決め手であるだけに、日本でもグラスノスチ(情報
公開)が非常に重要になってきます。そのあたりは、『朝日と読売の火ダルマ
時代』の第七章「日本のジャーナリズムの問題点と未来の姿」が大変参考にな
ります。

 編集部では、常にインテリジェンスやセマンティックスの重要性を説いてい
ますが、日本の場合は、その前段階としての真のグラスノスチの実施が是非と
も必要になります。しかし、そこに行き着くまでには多くの障壁があるようで
す。ひとつは、多くの日本人が、佐高信さんのいう「社畜」の立場に安住して
しまっていることから、改革はなかなか進まないことが予想されます。
(ここで言う社畜とは、個人の属する会社という温室に慣れきってしまい、世
の中の不正を正す、あるいは、子孫のためにより良い世の中に改革していくと
いった気力を失った人たちを指します。)

 そうした情報鎖国の常態からどう脱却するかについては、読者自ら本を読み
自身の頭で考え、ときには脱藩道場で意見交換を積極的にするなど、何らかの
行動に移る必要があるのではないでしょうか。そろそろ、お上が何とかしてく
れるだろうといった妄想は、断ち切るべきです。

 最後に、『朝日と読売の火ダルマ時代』の第七章で、「権力の側の自由は放
縦と結びつく特権であり、自由と表裏一体の責任を考える場合において、例外
的にレスポンシビリティを取る人もいるが、アカウンタビリティは問われたこ
とがない。そこに現代日本が直面する問題の根源があり、ジャーナリズムもそ
の例外では有りえず、言論の自由が瀕死に陥った背景を作っている。」と述べ
ている通り、レスポンシビリティとアカウンタビリティの区別すらつかない権
力者を持つ国民は悲惨です。尤も、そうした権力者を選んだ国民にも責任があ
ることは言うまでもありません。
 このアカウンタビリティは、欧米のプロフェショナリズムの基底を流れる倫
理に密接に結びついているものです。
 何故か。答は、最後に編集部の福田潤さんのアカウンタビリティについての
解説を載せましたので、読者自ら答を見つけてください。

※注
レスポンシビリティとアカウンタビリティの違いですが、二つを分けるキーワ
ードは、「責任」です。つまり、言行の責任を取る必要がないのがレスポンシ
ビリティであり、言行の責任を取らなければならないのが、アカウンタビリテ
ィです。



 再来週も引き続き、セマンティックス・シリーズをお届けします。


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 編集部の三人は、いつも、編集の内容を中心に、メールのやり取りで情報交
換を積極的に行っています。その中で、アカウンタビリティについて話し合っ
たことがありました。今回、アカウンタビリティについて本文で言及したのを
機に、アカウンタビリティについてやり取りしたメールを編集部の福田潤さん
がまとめてくれました。一読願います。

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           ■アカウンタビリティ■

 日本経済新聞(99年7月28日付)に以下のような記事が載りました。

【3月決算企業が現在作成中の英文アニュアル・リポート(年次報告書)に添付
される「監査報告書」に、『日本の基準に基づいて作られた決算書であり国際
的に通用するものとは異なる』という趣旨の「警句」が付けられていることが
明らかになった。ビックファイブ(世界五大会計事務所)の要請に対して、提
携関係にある日本の大手監査法人が従った結果で、日本の会計基準の「非国際
性」を自ら認めた格好だ。
(中略)
対象は日本基準で決算書を作っているすべての企業。「この財務諸表は日本で
一般的に認められた会計基準と鑑査基準に準拠して作成されており、日本の会
計基準に通じた利用者向けである」と記述、米国会計基準や国際会計基準など
の国際的に通用する基準とは異なることを注意喚起している】

 日本の会計制度・監査基準が後進的なのは、周知の事実ですが、それに加え
てアカウンタビリティという観点から、日本の会計監査を見るとaccountantで
ある会計士が、accountabilityを負っていない、あるいは、その自覚がないと
いうことが明白になります。

 accountabilityとは、「 説明責任 」と通常、訳されますが、監査人として
のaccountantは、「 監査報告書 」で意見を表明することで、その意見に対す
る「結果の責任」も負わなくてはいけません。

 米国の例を挙げると、米国企業は、通常、株式の新規発行に際し、監査済財
務諸表を投資家に公開することが義務付けられています。発行企業の財務諸表
に監査人が適正意見(財務諸表はGAAPに則って作成されているという意見)を
表明していたにもかかわらず、実際には、財務諸表に重大な虚偽記載があった
場合、その企業の株式を売買して損失を被った投資家は、

@財務諸表に虚偽記載があった
A実際にこれだけ損失を被った

ということさえ立証できれば、損害賠償を、その企業及び監査人から受けるこ
とができます。(「実際にその財務諸表に依拠して、株式に投資した」という
ことを立証しなくてもよいということにご注目!!財務諸表に一度も目を通し
てなくてもいいのです!!)

 つまり、財務諸表に公表されている情報について、最終的な説明責任はその
企業のmanagementが負いますが、その財務諸表に対して、監査報告書でお墨付
きを与えた監査人は、自己の意見に対してかなり厳格な「結果の責任」を負っ
てます。
 ですので、必然的に米国の監査手続は、日本のそれとは比較にならないくら
い厳格になっています。

 それに対し、日本に本当の意味での監査が存在しないのは、長銀の債務超過
を発見できなかったことでも明白であり、そうした背景から、冒頭の日経新聞
にあったような、「警句」を盛り込まざるを得えなくなるほど、日本の会計制
度・監査制度のアカウンタビリティに世界が疑問を投げかけているのです。 

(注1)GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)
        一般に公正妥当と認められた会計原則

                                編集部・福田潤

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  ※ 今号は、第40号の【意味論音痴が日本を亡ぼす】がベースです
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
   ※ 第40号のバックナンバーは、下記にファイルしてあります。
   ◆ ホームページ【日本脱藩のすすめ】 http://www.dappan.org/
   ◆ インターネットの本屋さん[まぐまぐ] http://www.mag2.com/


           **********

    
 現在、脱藩道場では[セマンティックス討論会]を開催しています。この機
会に是非ご参加ください。



★メーリングリスト【脱藩道場】への参加方法

   ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
    貴方のメールアドレスがaaa@bb.ccc.net(例)の場合、 
    (1) 本文の一行目に、join dappan aaa@bb.ccc.netと入力し
      改行してください。 
    (2) 本文の二行目に、stopと入力してください。本文には、
      著名等は入れないでください。 
    (3) 最後に、dappan-request@mx5.dns-ml.co.jp 宛てに送信
      すれば参加登録が完了です。

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※メーリングリスト【脱藩道場】に関するお問い合わせ:
 webmaster@dappan.org


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【編集室から】 亀山 信夫(編集部・主幹)
 
 今号でちょうど50号目を迎えました。

 振り返ると、大変慌ただしい一年だったような気がします。ちょうど昨年の
9月30日、長年勤めてきた電子部品メーカーを退職し、翌日の10月1日に
独立開業者の群れに飛び込みました。同時に、その日は脱藩道場をスタートさ
せた日でもあったのです。
 昨年の9月14日のメールマガジン【日本脱藩のすすめ】創刊号の読者数は
294名でしたが、現在では740名に増えています。
 メーリングリスト【脱藩道場】も発足した10月10日には10名前後でし
たが、今日では60名を突破するようになりました。
 これはインターネットの普及ぶりを物語ると同時に、志をもつ人たちが多い
という証であり、大いに勇気づけられました。

 さて、二年目の最初の行事として、10月23日(土)の午後1時から7時
頃まで、脱藩道場の第三回目の総会を開催致します。
 参加を希望される方は、氏名、住所、電話番号を必ず記入の上、下記のメー
ルアドレスにお申し込みください。参加申込書を受け取り次第、会場のご案内
等をお送り致します。なお、メールの表題は[参加申込]としてください。

※参加申込先:webmaster@dappan.org




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脱藩道場 編集部  亀山信夫(主幹)  葛巻岳  福田潤
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発行元(2) ・Macky!  http://macky.nifty.ne.jp/top.htm
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