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日本脱藩のすすめ 第57号
温故知新
2000/08/10
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[はじめに]
読者の皆様、大変ご無沙汰しております。
ここ数ヶ月、本業である翻訳の仕事が多忙であったのに加え、通産省管轄の
社団法人日本翻訳連盟(JTF)の正会員になったことによる諸雑務が増え、
メールマガジン【日本脱藩のすすめ】の筆をすすめる時間が思うように取れま
せんでした。そのため、一時は廃刊を考えましたが、周囲のメールマガジン継
続を望む声が強く、いろいろと考え抜いた末、今までに数々のメーリングリス
トに投稿した編者(亀山)のメールを再編集するという方法を採ることにしま
した。
現在、JTFのメーリングリスト【jtf-ball】をはじめ、数々の翻訳関係の
メーリングリストにおいて、翻訳から離れた次元のテーマ(例:情報革命)な
どをときどき投稿しています。そして、中には脱藩を志す読者の関心を集める
と思われるテーマがたくさんあることに気づいたのです。そこで、脱藩に関す
るテーマを中心に再編集し、メールマガジン【日本脱藩のすすめ】で取り上げ
ていこうと思うに至りました。
ここで、再編集するメールは、編者自身が書いたものであるため、著作権上
は全く問題はないとは云え、それぞれのMLの主宰者に対し、再編集してメー
ルマガジン【日本脱藩のすすめ】を発行することを、事前あるいは事後に連絡
することで承諾を得るという道義は守りたいと思います。そのあたりを各ML
の主宰者に打診したところ、jtf-ballの管理人・坂元誠様はじめ、各MLの主
宰者の皆様に快く承諾していただきました。ここに、心より御礼申し上げます。
挨拶が長くなりました。早速今号のテーマ、「温故知新」に入りたいと思い
ます。
[温故知新]
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「温故知新って、嫌いなことばでね」と、ソニー社長の出
井伸之さんは言う。「僕なら、未来を訪ねて新しきものをつ
くる、と言いたいな」。還暦後から赤いポルシェに乗るライ
フスタイルを持つ人でもある。「IT(情報技術)革命は、
18、19世紀の産業革命より影響が大きい」と確信する。
“未来派”は、「第二の衝撃が数年後に来て、メディアの世
界が一変する」と予見する。
東京新聞(6月11日)
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これは、インタビュー記事の冒頭に載っていたものですが、ここに出井社長
の限界を見ます。
中国古典に造詣の深い読者の皆様はすでにご存知のとおり、「温故知新」と
は歴史を深く探求することを通じて、現代への認識を深めていく態度に他なり
ません。これは、指導者たる者には欠かせない“資質”のはずであり、たとえ
出井社長が別の意味で温故知新を持ち出したのだとしても、ソニーという組織
の長としては軽率な発言であり、指導者失格の烙印を押されても仕方のない発
言でした。
なぜ、指導者失格なのか?
最初に、「温故知新って、嫌いなことばでね」という発言は、己れの無知を
曝け出している証に他ならないという根拠は、上記の「歴史を深く探求するこ
とを通じて、現代への認識を深めていく態度」という説明だけでも十分かと思
いますが、念のため、補足説明を付け加えさせていいただきます。
[歴史とは何か?]
歴史とは、過去の出来事やその年代を並べただけの味気ない高校・大学受験
用の教科書・参考書でもなければ、暇潰しに読むような「歴史小説」と称する
類のものでもありません。
編者は、6月13日に行われた日本翻訳連盟主催の第1回翻訳環境研究会の報
告書を作成し、メーリングリスト【jtf-argo】に発表しています。その中で、
以下のようなことをメモに残しています。
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「自分の訳文を客観的に推敲する能力の重要性」は、JTF
翻訳環境研究会に出席していただいた二人の講師が等しく指
摘された意見だった。
まさに、この「推敲」に気づくか気づかないかで、その人
が翻訳者として成功するかしないかの分れ道となる。
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何故、推敲能力が翻訳者として成功するか否かのカギとなるかは、翻訳技術
の問題になりますので説明は割愛しますが、これは何も翻訳に限らず、推敲、
すなわち客観的に諸現象を観察し、把握し、判断するということの大切さにも
つながり、これがゆくゆくはインテリジェンスへとつながっていくのです。
(インテリジェンスについては、ホームページ【日本脱藩のすすめ】を参照)
http://www.dappan.org/
では、翻訳はいざ知らず、これが社会、国家、大陸、地球といった次元の話
になったらどうでしょうか。人間は、社会、国家、大陸、地球をも客観的に観
察することができる生き物でしょうか?
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…部分を構成するものが、全体として、より上位の次元に位
置するものを理解するのは、困難に満ちたプロセスである。
だから、その構成メンバーである人間が、社会の状況を同
時代の者として客観的に把握するのは難しく、これまで多く
の人びとが多くの努力を費やしてきた。…
(『虚妄からの脱出』藤原肇著 東明社)
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現代は混沌とした時代であり、IT革命、インターネットなどが出現し、明
日すらどういう世界になるのかも分からないと嘆く人たちが大勢いる現状を見
渡せば、次元が上になると、諸現象を「推敲」する、すなわち客観的に把握す
ることが大変困難になってくることが容易に推察できるはずです。
ここで、社会を理解するための強力な武器、「歴史」が登場するのです。
さらに、『虚妄からの脱出』から続けます。
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…方法論的には、空間的に一定の距離を置いて、第三者の眼
を使いながら眺めるのがひとつのやり方であり、もうひとつ
は、時間的に過去のものとして眺める歴史学的なアプローチ
である。
この二つのやり方を統合して、「時・空間」の立場でもの
ごとを観察することにより、自分が生きている同時代をより
正確に理解するとともに、将来に継続していく歴史の過程を
見通すことはできないものか、と考えてみた。
そして、歴史というものは偶然性を伴うとはいえ、すべて
が必然的な過程に支配されて移行するものであり、変化の相
としての生成、発展、衰退という過程が実相として普遍性を
もっている以上、「時・空間」を次元の展開の中で把えてみ
ることで、突破口は開きうると確信するに至った。四次元座
標を構成する時間軸の上に、三次元空間として現われる社会
現象を置き、史眼に基づく次元の展開を行うことで、ダイナ
ミックに変化する歴史の断面が相として把えられるのである。
国民国家の問題を世界の次元で眺め、文化の問題を文明の
視角から観察するのは、その追うようにほかならず、こうす
ることで、われわれが実像と思いこんでいるものが、実は虚
像ではないかと見えるまでになったが、それが妄想ではない
という保証はいまのところ無い。
(『虚妄からの脱出』藤原肇著 東明社)
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以上の藤原さんの説明は、スルメのようなもので、噛み砕く(理解する)の
に骨が折れるかもしれません。しかし、それだけの価値のあるスルメ本ですの
で、一人でも多くの読者の皆さんに挑戦していただければ、これ以上の喜びは
ありません。
※『虚妄からの脱出』
http://www08.u-page.so-net.ne.jp/rb3/dappan/fujiwara/books/kyomou.html
いずれにせよ、直感的に藤原さんの意味する歴史の輪郭なり捉え方が、多少
なりとも掴めていただけたのではないでしょうか。
歴史というものは非常に重要な学問です。それだけに、その歴史の重要性を
説く孔子の格言を軽くあしらうような出井社長の発言には、幻滅を感じざるを
得ません。
この機会に、歴史というものを思索してみると良いかもしれません。
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編者 亀山信夫
問い合わせ先 webmaster@dappan.org
ホームページ http://www.dappan.org/
発行元(1) まぐまぐ http://www.mag2.com/
発行元(2) Macky! http://macky.nifty.ne.jp/top.htm
発行元(3) Pubzine http://www.pubzine.com/
読者総数 910名
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■■■ メーリングリスト【藤原肇】参加のすすめ
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メールマガジン【日本脱藩のすすめ】は、藤原肇(国際政治コメンテーター)
さんの思想がベースになっています。その藤原さんの思想をさらに深く追求す
るためのメーリングリスト【藤原肇】を開設していますので、参加を希望され
る読者は以下のフォーマットに記入の上、編者宛てに送付願います。
※フォーマット送付先:kameyama@dappan.org
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・氏 名:
・〒&住所:
・電話番号:
・自己経歴:
・参加動機:
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メールの受理後、記入していただいたフォーマットをメーリングリスト【藤
原肇】(藤原ML)に転載致しますので、予めご承知おき願います。(〒&住
所および電話番号は、藤原MLには転載しません)
なお、藤原博士を取り上げたHPは以下の通りです。参加するにあたっての
判断材料としてください。
http://www08.u-page.so-net.ne.jp/rb3/dappan/fujiwara/fujiwara.html
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