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日本脱藩のすすめ 第60号
プロフェショナリズム
2000/09/15
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[はじめに]
前号でコンサルタントをテーマに取り上げた時、プロフェショナリズムも取
り上げないことには片手落ちになると筆者(亀山)は述べました。
よって、今号では、そのプロフェショナリズムを取り上げたいと思います。
[プロフェショナリズム]
プロフェショナリズムとは、何か。
最初に、この問いに的確に答えてくれる本があります。長くなりますが、プ
ロフェショナリズムの本質を突いていると思われる以下の個所を転載します。
・『脱ニッポン型思考のすすめ』(小室直樹・藤原肇共著、ダイヤモンド社)
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藤原 一番問題だと思うのは、日本にはほんとうの意味での
プロフェッショナリズムが存在していないことです。プロは
絶対に嘘をつかないし、金のために虚偽の発言はしない。ま
た、職業上で得た秘密は絶対漏らさないのだという強い倫理
意識が、日本では存在しないだけではなく、それを主張して
も通用しない共同体の締め上げがあります。
小室 仲間のうちで秘密を持つのは水臭いとか、あの人間は
融通の利かない不人情な奴だということになる。倫理よりも
人情が優先してしまうから救いがないのです。
藤原 プロフェッショナルは、金の力で支配されたり、自分
の良心を売るようなことを絶対にしないというのが不文律の
はずです。ところが、日本ではプロ野球やプロレスラーのよ
うに、金の積み方次第で、自分をいくらでも身売りするとい
った、逆立ち現象をプロということばで表現している。そこ
に問題が混乱する原因があると思うんですよ。
小室 日本にはプロフェッショナリズムは存在し得ないので
す。封建社会では自己の生命を賭けてプロ意識を貫き通して
いたのでは、命がいくつあっても足りない。より上位の力が
それをねじ曲げるように作用するからです。
藤原 アメリカは石油開発で地上最強国家になった国だけあ
って、僕のようなジェオロジストは医者や弁護士や公認会計
士と同じでプロフェッショナルです。だから、プロとしての
自覚できわめて深刻に倫理の問題を意識せざるを得ないのに、
日本人には、なぜ手心を加えてもらえないのかと、いつもい
われてしまう。日本の場合は、こういったプロは儀式を司る
上でのタイトルで利用価値がある、としか評価しようとしま
せん。
小室 肩書きをありがたがるし、肩書きとプロフェッショナ
リズムを取り違えている。社長や教授、それに大臣や委員長
というのは、職名であり肩書きであって、日本でもプロフェ
ッショナリズムとはまったく関係がないのです。
藤原 プロというのは見識と判断力をベースにした姿勢と、
パフォーマンスを要求される特殊な職業にたずさわる人が、
一定の倫理基準を備えたときに成立し得る人間の敬称です。
そして、何はやってもいいがこういうことは絶対にしてはい
けないという行為は、どんなことがあってもけっしてやらな
いだけの心構えと修行をしている点で、貴族と同じです。そ
れも、単なる家柄貴族ではなくて、帝王学を徹底的にやり抜
いたという古代貴族制における貴族と同じです。そこにはノ
ーブレス・オブリジェの精神が生きているし、ものすごく高
い倫理観と選民意識がある。しかも、日本でいうエリート意
識とは隔絶したものを持っているんです。
小室 日本のエリート意識は、権力機構に連なってるという
意味での権力意識でしかない。およそノーブレス・オブリジ
ェなんて感覚はないし、自己犠牲よりは保身が先に立ってい
ます。ノーブルであるゆえんは、絶対に嘘やごまかしをしな
いということであり、たとえ家柄は貴族でも、嘘やごまかし
をしたことによって、貴族でなくなる。要するに、貴族とい
うのは生まれつきの家柄の問題ではなく、精神のあり方にか
かわっていて、そういった精神を家風として代々伝えていく
がゆえに、尊敬されてしかるべき存在であり得るのです。
『脱ニッポン型思考のすすめ』p.90〜92
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前号で、『脳内革命』の著者である春山茂雄を、白衣を着たオカルト宗教団
体の宗祖に仕立てた船井幸雄の手腕について述べました。このようなオカルト
がかった経営を説き、かつ倫理にももとる船井幸雄のような人物は、本物のコ
ンサルタントの名に値しないことは、上記の小室直樹さんと藤原肇さんの対話
の部分を一読すれば、明らかです。
[コンサルタントへの道]
先月、編者の家に藤原さんから国際電話がありました。そのとき、たまたま
話題に出たのが、コンサルタントとプロフェショナリズムでした。
そもそもは、前号で取り上げた「国際ビジネスコンサルタントになるべく修
行中」という編者の報告から、コンサルタントとは何かという話に発展したの
ですが、コンサルタントに成るべく修行中と言う編者に対し、藤原さんは以下
の感想を述べています。
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「コンサルタントと云うと、どうも日本人は誤解している節
がある。コンサルタントとは長年の専門分野の体験を積み重
ね、インテリジェンスにまで高めたものを、高付加価値の情
報として顧客に提供する者をいう。したがって、そこまでに
辿り着くには、まずスペシャリストとしての修行を積み重ね、
その後に初めてコンサルタントと名乗れるということになる。
要は、コンサルタントとは、勉強すれば成れるようなアンチ
ョコのようなものではない。」
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上記の藤原さん話を耳にし、咄嗟に思い出したのが、冒頭に取り上げた小室
直樹さんとの対談の部分でした。そして、藤原さんの話を聞きながら、まずは
専門分野で一流の仲間入りをすることが先決だとつくづく思ったことでした。
また、「日本にはプロフェッショナリズムは存在し得ない」と喝破した小室
直樹さんのことばは、よくかみしめる必要がありそうです。
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編者 亀山信夫
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