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               日本脱藩のすすめ  第73号
                
  パックス・アメリカーナ・グローバル市場資本主義文明の時代に生きる(3)

                                                               2001/11/19
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■■■ パックス・アメリカーナ・グローバル市場資本主義文明の時代に生きる (3)
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■■■ 金子純一
                       
■6.グローバル市場資本主義文明への主体的参画

  国民国家のレベルを超えた次元で現代世界の基調を形作っている世界金融寡頭制及
び国際寡占体制の核には、英米系を中心に構成された強力なインナーグループと大陸
ヨーロッパ系のグループがあり、ともに近代西洋文明を母体とする兄弟間係にあり、
世界の成り立ちに多大な影響力を与えているように見える。(ヨーロッパは兄で英米
は羽振りのよい弟といったところか。)

英米系インナーグループのシンクタンク等のグランド・ストラテジスト集団が、20
世紀後半での構造的進歩の上に、さらに情報革命時代、知識集約型社会化、人工衛星
時代等の新しい環境の出現を踏まえて、21世紀のグローバル覇権体制の確立を目指
してフォーカスしているであろうシナリオの項目を、私なりに予想してみると下記の
ようになった。

1)    エネルギー覇権及び通貨覇権の強化。
2)    情報革命時代・人工衛星時代の技術をフル活用した軍事および経済面での覇
        権の確保。
3)    金融・貿易に関する自由主義及びグローバル市場資本主義の制度的強化およ
        び固定化。
         → 通貨統合・市場統合・グローバルな経済ルール統一の実現。
         → 寡占化に対する規制の大幅な緩和。
4)    発展途上国開発、新技術開発による資本主義フロンティアの確保。
5)    アカデミーと人材の囲い込みによる知識集約社会の覇権体制の確立。
6)    メディア、ジャーナリズム、アカデミズムに関するグローバルなソフト・コ
        ントロール機能の強化。
7)    テロ活動の制圧及びアンチグローバリズム運動の統制。
         → 情報・通信の検閲及び監視対象活動の操作・操縦機能の強化。
8)    核兵器・生物兵器等の大量破壊兵器の拡散に対応した現代版刀狩りの強化。
9)    非西欧地域でのプログローバリズム政権の支援。
10)  人口増加問題・資源問題への対処機能の強化。

これらを眺めてみると、欧米系企業を中心とした国際寡占体制をコアとしたパックス
アメリカーナ・グローバル市場資本主義文明がいちだんと定着していく過程が想像で
きる。


 日本は幕末に鎖国を解いてからまだ僅かばかりの時間しか経ていないだけでなく、
その昔から、世界帝国を築いて世界史の桧舞台で主役をつとめたり、文明のリーダー
となったことはない。この民族としての経験不足により、日本人は、歴史や文明をリ
ードしてその先頭に立つ役回りを担う世界帝国の知識階層が、歴史や文明に対して、
どういう自負やプライド、義務感を持つかについて思いを馳せるだけのイマジネーシ
ョンが不足しており、ひいては歴史や文明の問題に対して勉強不足となっているので
はないだろうか。

圧倒的な覇権を握った勢力の知識階層は、自分たちの行為、行動はやがて歴史の審判
を受けることになり、そこでは文明の進歩に寄与したかどうかが大きな判断ポイント
となるということを否応でも認識することとなり、やがてはその意識が行動規範とし
て反映されてくる。 いつまでも奴隷制やアヘン販売を続けることは、歴史に汚点を
残すことだと理解できるのが正常である。


ローマ時代にローマの属州に生まれたものは、終生ローマ帝国の影響を受け入れざる
をえなかったように、現代のわれわれもまたパックス・アメリカーナ文明すなわち世
界金融寡頭制のグローバル資本主義体制の中に生きており、この文明を離れて生きる
ことは難しいであろう。

そうであるならば、現代の日本は、短絡的な攘夷の発想に陥ることを強く戒めつつ、
この文明と帝国の現実を認識した上で、この文明の理念に対して理解を深め、それを
現代世界の多くの人々と次の世代にとっていかによりよいものにするかについて、正
論を持って語り、臆したり、怯んだり、媚びたりすることなくパックスアメリカーナ
文明のよりよい発展に向けた修正、改善に主体的に参画することが大切であろう。

おそらく21世紀において、世界の各国は、新しくより大きなスケールで地域別に統
合・再編され、各地域が自らの安全保障に責任を持ちつつ、それぞれその特性・自出
を生かして、パックスアメリカーナ・グローバル文明に多様な価値観を織り込み、そ
れをより普遍的で健全な世界文明とすることに貢献する道を探るという選択をするこ
とになるであろう。

こう考えて、改めて我がこととして全体を振り返ってみるとき、我々が今取り組むべ
きことは、現実の社会や歴史の清濁を合わせ飲んだ上で、なおかつ、世界文明につい
て考察し、進歩に貢献する高い志を持ち続ける青年層を広く世界に増やすことである
ことがわかる。特に日本の再生にとって必要なことは、優れた若者が理性と普遍性を
尊び、文明論的な足場の上に立って、理想を追い現実にチャレンジすることに夢と希
望を持てる健康な社会を取り戻す努力をすることである。

そして、ここに、藤原さんが、日本脱藩を勧め、日本の亡国現象をダイアグノシスし
、処方を示し、歴史を記録し、また意味論の大切さを説き、社会の木鐸であるジャー
ナリズムに再生を呼びかけていることの大きな意義がよりはっきりと見えて来るので
ある。

金子純一 拝

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(補1) 藤原エネルギー史観と第二文明期の帝国主義

「全ての現象は力学の場に置かれており、政治的力学体系のサブシステムとして経済
があると理解すれば、地球という閉ざされた体系の中では、文明の一定段階では帝国
主義が普遍性を持ち、帝国主義の特殊なあり方としてより社会主義的なものや資本主
義的な生産関係が機能するのだ、と見えるようになるのです。」(石油と金の魔術
P.24)

「また、地理学的な空間という視点で眺めると、石炭が国民国家の枠組みから大陸規
模の広がりをもっていたのに対して、石油は大陸規模から汎地球的な活動領域によっ
て特徴づけられています。そこに多国籍企業が出現する必然性があるので、さっき言
われたパックス・アメリカーナの動揺というのは、アメリカ以外の国の挑戦という意
味では、ソ連やOPECの存在が無視できないが、それとともにアメリカが自ら生み
出した多国籍企業によって、国民国家としての合衆国がのりこえられようとしている
ことも重要でしょうね。」(石油と金の魔術) P.28)

「概略はすでにエネルギー史観のところでふれたけれど、第二文明期は前期、中期、
後期の三つの帝国主義の時代に区分できる。
しかも、それぞれの帝国主義の時代は炭化水素エネルギー系列の図で、石炭、石油、
天然ガスに対応する。また、空間的な拡がりで帝国主義をパターン化すると、国民国
家と周辺地区を主体とした石炭期、大陸次元の石油期、地球次元の天然ガス期とな
り、それぞれの資源獲得運動に対応した世界史的な事件が結びつく。
大体、水素がエネルギー源として産業社会の活力源となる時に、エネルギー源争奪戦
に死力をつくしていた帝国主義が、文明として初めてポスト帝国主義と呼べる新時代
を迎えるのです。」
(「マクロメガ経済学の構造」 P121)



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執筆人  金子純一
編集人  亀山信夫
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